冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
唇を強く結んで自分のデスクに戻ったわたしは、入れてもらったコーヒーを忘れたことに気づいたけど、取りに戻ろうと思えなくてそのままにした。
いくら顔がかっこいいからって、何度も人のことを馬鹿にして許されると思わないでよ!

しばらくして給湯室から戻ってきた由佐さんをキッと睨むと、相当意外だったのか呆気にとられているようだった。

わたしだってね、言うときは言うんだから。……上司の胸元を引っ張ったのは少しまずかったかなと思うけど、でも、からかってきたのは向こうだから、なにか言われたら『市崎課長が悪い!』って言ってやる。 

苛立ちながらパソコン作業を再開して進めていると、徐々に社員たちが出社してきて、オフィス内も賑やかになってきたが、わたしは周りと必要な会話だけして黙々と仕事をしていた。

このムカムカする気持ちは、仕事をして忘れるしかない。そう思って、市崎由佐という男のことを気にしないように一日中必死になっていた。


勤務時間が終了し、頼まれた書類のファイリングを終えたわたしは、最後に清掃員が片付けやすいようにゴミ箱の中身をひとつの袋にまとめた。

なんとなく由佐さんのほうを見たらメールチェックをしているようで、気まずいと思いながら「お疲れ様でした……」と、残っている人たちにも挨拶をしてオフィスを出た。
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