冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
もしかして、彼も朝のことを気にしているのかな? ……なんて、ありえないか。たまたま目に入ったから、持ってきてくれただけかな。

そんなことを考えながらエレベーターに乗っていると、一階へたどり着いたとき由佐さんが口を開いた。

「……悪かったな」

「え?」

わたしを横目で見ながら呟くように謝った由佐さんに、ドアの開く音と同時にぽかんとする。急になんの謝罪……?

「朝のことだよ。君のことを怒らせただろ」

わからなくて反応に困っていたわたしに、彼は謝る理由をそっけない声で説明してエレベーターを降りていった。

朝のこと、わたしが怒っていると思って謝ったの? え……嘘でしょう、自分から謝るなんて意外すぎて、信じられない。

エレベーターから降りるのを忘れていてハッとしたわたしは、エントランスを歩く由佐さんを慌てて追いかけた。

「あ、あの、わたしも、せっかく入れてもらったコーヒー飲めなかったし、それに、シャツを掴んでしまってすみませんでした……!」

由佐さんの隣まできてそう言うと、彼はわたしを見下ろしてなんだか意地悪そうな顔をする。

「そうだな。あんなふうに女に乱暴なことをされたのは初めてだったから、刺激的だったよ」

「なっ……!」

乱暴って、そういうつもりじゃ……ていうか、どうしてからかうような笑みを浮かべているんだろう! さっきは朝のことを謝っていたようだけど、あのとき、わたしはからかわれたから反発したくなったのに!
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