冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「あと、数字くっつけすぎて読みにくいから、レイアウト考えてくれよ」

「はい……」

その通り、失敗したのはわたしなので、淡々と注意してくる由佐さんにおとなしく返事をして自分のデスクへ戻った。

わたしのことをからかってきたり、冗談っぽく笑ったりするくせに仕事のときは厳しくて、指摘されることはすべて正しいからなにも言い返せない。他の社員にも結構厳しいようだが誰も文句を言わないのは、実力主義の会社で若いながら課長に就くだけの力があるから。

いたずらっぽく笑う感じは軽薄そうに見えるけど、実は仕事のできる男っていうのは、女性が惹かれる要因なのかもしれない。……わたしは、もう惑わされないけど!

「嶋本さん、大丈夫?」

怒られてちょっぴり落ち込んでいると、隣のデスクの男性社員、谷池《たにいけ》さんが声をかけてくれた。谷池さんは二十七歳で、短髪にぱっちりとした二重、爽やかな容姿で明るい性格をしており、面倒見がよくてわたしのことも気遣ってくれて、課の中では一番話しやすい人だ。

「課長厳しいからなぁ。女の子には辛くない?」

「大丈夫ですよ。わたしの確認ミスなので、もっとしっかりします」

女だろうが男だろうが、仕事は仕事だ。前の職場のように理不尽に怒られるだけではなく、なにがダメなのか指摘されてやり直しなら、へこんでも頑張ろうと思える。
ただ……もう少し優しくというか、淡々とした感じでなければいいなとは思うけど。
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