冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「お前ら、さっきからペラペラ話ばかりしてないで仕事しろ」

響いた声にビクッと肩を揺らして顔を向けると、席から立ち上がった由佐さんがわたしたちに鋭い視線を向けていた。
一応小さめの声で話していたけれど、聞こえてしまったかな……?
隣の谷池さんは、ヤバイ!という顔をして「そ、外回り行ってきます」と、慌てて支度をしてオフィスを出ていった。

わたしはさっとパソコン画面に向き直り、由佐さんがこちらにやってくる気配にそわそわしていると、案の定、彼はそばで立ち止まってファイルをわたしの頭にポン、と軽く置いた。

「俺の名前が聞こえたけど? なにか勘ぐっているなら、俺に直接聞けよ」

そう言った由佐さんは、すぐに歩きだして去っていった。わたしは頭を片手で押さえながら、彼の背中を見つめる。
いやいや、聞けないでしょう、あなたのせいで前の課長辞めちゃったんですか?なんて。

わたしは仕事を再開したけど、ふとしたときに気になって胸がすっきりしなかった。
由佐さん、直接訊いたら答えてくれるのだろうか。散々からかわれたのだから、わたしも少しくらい失礼なことを聞いても別にいいかな。
でも、谷池さんも誤魔化すような事情のようだし、聞いて嫌な気持ちにさせたりしたら悪いかなとも思う。
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