冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
まずい、つい夢中になって資料を作っていたけれど、明日にまわしてもいいものだから書類を提出して帰ろう。そう思って息をついたとき、由佐さんに声をかけられた。

「なあ、開発部に出す書類、作成できてるか?」

「あっ、はい。ここにコピーして……あれ?」

デスクの端に重ねて置いてあるファイルを退かして書類を探すが、見つからない。なんで……? 確かここにコピーしてまとめて置いたはずなのに。
作成した内容……なんだっけ、保存ファイルに入れていない部分があったかもしれない。

「どうした?」

「えっと、あの……」

慌ててデスクの上を漁るわたしを由佐さんがじっと見ている気配がして、さらに焦った。また忘れたのかって、言われるかもしれない。

書類を提出するのを後回しにしてしまっただけで、わたしは忘れずに作成したのに。でも、提出できなければ仕事ができていないのと同じ。“またやっていなかった”と思われても仕方ない。

「この時間まで残っていて、できてないのか? 俺が最後にチェックして、明日の朝までに持って行く予定だって言ったはずだけど」

「すみません……」

謝ったわたしは、もう一度書類を探す。床に落ちたのかもしれないと、しゃがんでデスクの下を覗いてみるが、見当たらない。
なんで……どこにいっちゃったんだろう。髪をくしゃりと握ったとき、視界に革靴が見えてわたしは立ち上がった。
< 42 / 153 >

この作品をシェア

pagetop