冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
自分にも彼氏がいたらこの晴れない気分もある程度救われたのかなぁ、なんて考えてみる。
『仕事なんてすぐ見つかるよ』と、優しく励ましながら抱き締めてくれるような人が欲しいけれど、そんなのすぐにできるわけがない。四月の夜の風が、やたらと冷たく感じる……。
虚しくなってうつむいたとき、「紘奈!」とわたしを呼びながら夏穂子が後ろから抱きついてきた。
「お待たせ! ねえ、もう一軒行かない?」
「ええっ、だって夏穂子、明日は彼氏と約束があるんでしょう?」
「あるけど、もう少し紘奈と飲みたい。友達同士でお喋りするの、楽しいからもっとしたいんだもん」
戸惑うわたしに、夏穂子はニコッと明るい笑顔を向ける。もしかして、わたしがもう少し飲みたいって思っていたことに気づいてくれたのだろうか。
このまま家に帰ってぼうっとするより、どこかに行きたいと思うわたしは、「終電までだけどね」と言った夏穂子に小さく笑ってうなずいた。夏穂子って、元気でいつも優しいんだよなぁ。
「じゃあ、行こう! とっておきのお店を紹介してあげる」
わたしの腕を掴んで歩きだした夏穂子に、一体どこへ連れていってくれるのだろうかと、ワクワクして付いていった。
飲食店が並ぶ明るい道から、だんだんとオフィスビルが目立ちはじめ、いつも通勤のときに歩いていた通りへと出る。
「ねえ、夏穂子。とっておきのお店って……」
「同じビルにあるのに、今までちょっとハードルが高いなぁなんて思っていたんだけど、彼氏の友達がオーナーをしているって聞いて行ってみたら、とても素敵なお店だったから紘奈を連れていってあげようと思って!」
『仕事なんてすぐ見つかるよ』と、優しく励ましながら抱き締めてくれるような人が欲しいけれど、そんなのすぐにできるわけがない。四月の夜の風が、やたらと冷たく感じる……。
虚しくなってうつむいたとき、「紘奈!」とわたしを呼びながら夏穂子が後ろから抱きついてきた。
「お待たせ! ねえ、もう一軒行かない?」
「ええっ、だって夏穂子、明日は彼氏と約束があるんでしょう?」
「あるけど、もう少し紘奈と飲みたい。友達同士でお喋りするの、楽しいからもっとしたいんだもん」
戸惑うわたしに、夏穂子はニコッと明るい笑顔を向ける。もしかして、わたしがもう少し飲みたいって思っていたことに気づいてくれたのだろうか。
このまま家に帰ってぼうっとするより、どこかに行きたいと思うわたしは、「終電までだけどね」と言った夏穂子に小さく笑ってうなずいた。夏穂子って、元気でいつも優しいんだよなぁ。
「じゃあ、行こう! とっておきのお店を紹介してあげる」
わたしの腕を掴んで歩きだした夏穂子に、一体どこへ連れていってくれるのだろうかと、ワクワクして付いていった。
飲食店が並ぶ明るい道から、だんだんとオフィスビルが目立ちはじめ、いつも通勤のときに歩いていた通りへと出る。
「ねえ、夏穂子。とっておきのお店って……」
「同じビルにあるのに、今までちょっとハードルが高いなぁなんて思っていたんだけど、彼氏の友達がオーナーをしているって聞いて行ってみたら、とても素敵なお店だったから紘奈を連れていってあげようと思って!」