冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「顔を赤くされると、意地悪なことを言ってやろうかなって思うんだけど」

「っ……!? せ、性格悪いです!」

「よく言われる」

直す気はないのか……!と、思いながらも言わなかったのは、彼のいたずらっぽく緩んだ口もとに心が捕まってしまったから。
騒がしくなってしまった胸の鼓動が静まるよう、由佐さんから視線をそらした。

お互い頼んだお酒が目の前に並び、結局どこに行っても彼のことは意識してしまうんだなと一口飲んだカクテルを眺めていると、隣にいる彼がそっと話しはじめた。

「この前は助かった。君に寄りかかって眠ってしまって、悪かったな」

少しばつの悪そうな彼の様子に、わたしは目をぱちぱちとさせる。もしかして、ふたりで飲もうと言ったのは、給湯室のソファでのことを気にしていたからだろうか。

「別に……大丈夫ですよ。それよりも、わたしがあのときに言ったこと、しっかり頭にいれて仕事をしてくださいね」

「俺のことをもっと知りたいってことを?」

「違いますよ! 無理はしないってこと……え!? な、なんで……!」

それは、彼が眠ったときに呟いた言葉だった。
『由佐さんのこと、もっと知りたい』って言ったのを、彼は聞いていたの?

「君は俺が寝たと思ったんだろうけど、喋る気力もなくなってきたから、途中で目を閉じただけだったんだよ」
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