冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「行きますよ!」

展望施設へ向かおうとしている由佐さんの腕を掴んで、わたしは観覧車の方へ歩きだした。わたしの行動に「……おい?」と、彼は驚いているようだ。

由佐さんらしくない、気遣いをしているようでなんだか面白かった。
もしかして彼は、女性にモテるし仕事もできるけど、相手に優しくするという部分はちょっと不器用な人だったりして。

「由佐さんが恥ずかしいなんて珍しいので、是非観覧車に乗り……」

歩きながら彼のほうを見たとき、自分が彼の腕を掴んだまま進んでいることに気づいて慌てて手を離し、すぐに前を向いた。
なにをやっているんだ、わたし……! 馴れ馴れしく腕を触ってしまった。

自分の行動に戸惑ったわたしは、そのまま観覧車の方向へ進んでいたけど……ぎゅっと、後ろから手を握られて勢いよく振り向いた。

「なんだよ、急に。手を離すことないだろ」

いたずらっぽい表情をした由佐さんが、わたしの手を握って隣に並んでくる。当たり前のように手を繋いできた彼をドキドキしながら見つめていたわたしは、頬が熱くなってくるのを感じてそっとうつむいた。

まさか、手を繋いでくれるなんて……。騒がしい胸の鼓動でおかしくなりそう。

自分から『行きますよ!』なんて言ってしまった観覧車に乗り込むと、やはり意識してしまってどうしたらいいのかわからなくなった。
ううん、さっきまでは平気だと思っていたのに、由佐さんが手を繋いできたから……! 胸の高鳴りが納まらないままで、対面しながら乗っているがずっと彼の顔を見ることができない。
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