冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
自分の言ったことに照れてしまったわたしは、彼から視線をそらす。そうしたらふっと笑われたので、また意地悪な顔をしているんだろうなと彼の表情を確認したのだが、なぜか嫌な感じはしなかった。

なんだろう、急に胸がくすぐったくなってきて、自分の気持ちがそれに反応している。

「飯、食べてから帰る?」

「は、はい……」

小さく見えていた窓の外の木々たちが、段々と大きく見えてくる。この時間が終わってしまうのが寂しいなと、そう感じていた。


観覧車から降りたあと、公園内を少し散歩してから車で移動し、飲食店街の和食レストランで食事をした。
由佐さんと楽しく出掛けることができてよかった。彼が見せる不器用な優しさというものに気づいて、少しだけ、彼のことがわかったかなと思う。

なにを考えているのか掴めないところはまだあったりするけれど、彼の冗談をある程度許せている自分がいる。

「今日はありがとうございました。食事も、ごちそうさまです」

自宅のマンションまで近づいてきたとき、そう言ったわたしに由佐さんは「ああ」と短く反応した。

まだ帰りたくない……なんて、そんなことを言えるわけがないし、明日は月曜で仕事があるのだから、気持ちを切り替えないと。

マンションの前に車が止まり、車内に響くウインカーの音に名残惜しさを煽られながら、「では、また明日……」と由佐さんのほうを見たとき、彼と目が合って動きを止めてしまった。
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