霞村四丁目の郵便屋さん
新しい家は建てられていない。
それなら、都会に出ていた誰かが戻って来た可能性が大きい。


「ううん」


みやびは小さく首を振り、今度は俺の目をじっと見つめる。

遥……。
どうしても遥の姿が重なる。

こうして俺の瞳からいつも目を逸らさなかったのは、遥くらいだ。


「瑛太くんは、私の言うこと、信じてくれる?」

「はっ? ……あぁ、まぁ……」


突然そんなことを言われてもわけがわからない。
曖昧な返事をすると、みやびはもう一度窓の外を見つめた。

もちろんみやびが嘘つきだとは思わないけど……そんなことを言うということは、今までに誰かに信じてもらえなかったことでもあったのだろうか。


「私、四丁目に住んでるの」


窓の外を見たまま唐突にそう言った彼女は、なぜかほんの少し口元に笑みを浮かべる。


「四丁目?」


どういうこと?
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