霞村四丁目の郵便屋さん
「まぁ、そういうことだよ」


結局、みやびははっきりとした答えをくれないまま、会話を切ってしまった。


バスは先細る道をどんどん上っていく。
すると、次第に民家がなくなり、視界には山しか入らなくなってきた。

この山を越えたら妖精がいるんだろうかなんて考えてしまうのは、みやびとの会話が耳に残っているからだ。

俺たちはそれからしばらく、なにも会話を交わさなかった。

会ったばかりのみやびとなにを共通の話題にしたらいいのかもわからずスマホを手にしたものの、やっぱりここは圏外だ。
仕方なくスマホをカバンに放り込んで窓の外を眺めていると、みやびは突然口を開いた。


「瑛太くん、霞村を出ようと思ったことはないの?」


引っ越して来たばかりのみやびからそんな質問をされるとは思ってもいなかった。


「どうして、そんなことを聞くの?」


もう霞村に飽きたのだろうか。


「どうしてって……皆出ていっちゃうって、聞いたから」
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