霞村四丁目の郵便屋さん
一瞬、みやびが不自然なほどに目を泳がせるので、嘘を言っているように感じてしまう。

もしかして……俺が他の同級生のように霞村を出ていかなかった理由を知っているんじゃないかと考えたものの、そんなのまさか、だ。だって父さんと母さんだって知らない。

俺しか……知らない。考えすぎか。


「あったような、なかったような……」


俺は答えをはぐらかした。

みやびだって四丁目についてきちんと答えをくれていないのだから、問題ないだろう。


「ということは、あったのね」


それなのに彼女は『あった』と決めた。

みやびのことがよくわからない。
教室に入ってきたとき、終始うつむいていた彼女を見て、おとなしい子に違いないと思った。

実際、休み時間に女子が彼女の周りにあふれても、ほんの少し微笑むだけで大きな声ではしゃぐこともなかったし、自分から積極的に誰かに話しかけているということもなかった。
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