霞村四丁目の郵便屋さん
それなのに、バスに乗ってからの彼女は意外にもはきはきとものを言い、それでいてどこかミステリアス。
正直なところ、どう扱っていいのかわからない。

まぁ、もともと限られた人としか係わってこなかった俺が、彼女の性格を知ったところで、彼女に合わせた会話ができるかといえば、そうでもないんだけど。


「あったのかも、ね。でも、村を出なくても別によかったかな」


それが正直な気持ち。

もっと便利な大きな街で、いろんな刺激を受けて生活してみたいと思わない霞村村民なんているんだろうか。

あの村が好きで、今住んでいるのは、ひと通り外の世界を知りやっぱり霞村を選んだ人たちばかりだ。
俺たちみたいに、一度も他の街で生活をしたことがない子供を除いては。

でも、遥がいれば……そんな欲求、いくらでも捨てられた。
遥がいればそれだけでよかった。

だから『村を出なくても別によかった』という気持ちも、たしかに存在した。


「そっ、か」


もっと突っ込まれると思ったのに、みやびはあっさりと引いた。
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