霞村四丁目の郵便屋さん
ばあちゃんから遥の名前が出て、ビクッとしてしまう。

俺と遥が兄妹のようにして育ったことは、おそらく村中の人が知っていて、セットみたいに見られていた。

でも、今は遥のことを話したくない。
まだ平気な顔をして話せない。

ばあちゃんがそう言うと、みやびはほんの少し微笑んで頭を下げる。


彼女は『遥ちゃんがいなくなって』と言われても、少しも気にしている様子はない。
もうすでにどこかで遥のことを聞いているんだろうか。

ばあちゃんはそれだけしゃべると満足したのか、前を向いて座り直し黙ってしまった。


みやびに遥のことを言ったほうがいいのか迷ったものの、やっぱり言いだせない。
それに、彼女も説明を求めてこなかったので、助かった。


やがて俺たちも黙りこくっているうちに、ばあちゃんが竹林の公民館の前で降りていった。

そこから河原町は十分もかからない。

終点の河原町は、こんな時間にバスに乗る人はいない。
都会とは違いバスの最終はとてつもなく早く、今から出かけたら泊まり仕事になってしまう。
< 28 / 56 >

この作品をシェア

pagetop