霞村四丁目の郵便屋さん
「みやび」


小声でもう一度呼びかけてみる。

たしかにここで消えたはずなのに、彼女の足音も気配も感じられず、静寂が漂うだけ。


そのとき、『四丁目は、妖精の町、かも』とつぶやいたみやびを思い出した。
みやびはたしか、『住みたいと思わなければ、住めないの』と不思議な言葉を口にした。

四丁目がそうなの? 
妖精を信じる人にしか妖精に会えないように、四丁目の存在を信じる人にしか住めない、とか?

そんなことを考え出したら、わけがわからなくなった。


四丁目なんて、グーグルマップにだって載っていない。
ここはただの森になっている。
それに、今まで四丁目に住んでいる人に出会ったことがない。


「なんなんだよ……」


突然転校してきて不可解なことを言いだし、どれだけ質問をしても答えをくれないみやびは、いったい何者なんだろう。

自分を納得させるため、ここにみやびが入っていったのは見間違いだと言い聞かせ、家に帰った。
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