霞村四丁目の郵便屋さん
「あのさ、最近引っ越してきた人、知ってる?」


俺が知らなかっただけで、母さんは知っているかもしれないと尋ねた。
でも……。


「ううん。聞いてないわね」

「だよ、な。それじゃあさ……大池って、聞いたことある?」


四丁目と聞こうとしてやめた。
四丁目なんて絶対にないからだ。


「大池って?」


タオルをたたんでいた母さんが逆に質問してくるので、空振りだったと思ったけれど……。


「あぁそういえば、昔、そんな地名のところがあったと、おじいちゃんから聞いたことがあるわね」

「あったの?」


思わず大きな声を出して食いつくと、母さんはキョトンとしている。


「うん。でもね、昔から語り継がれる伝説みたいなものよ。本当にあったかどうかなんて、多分誰も知らないはずよ」

「伝説?」


俺がそう聞き返せば、母さんは大きくうなずいた。


「ねぇ、もっとなにか知らない?」

「なんかあったの?」


俺が母さんにこんなに食いつくことは珍しい。
だからか不思議がられてしまった。
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