霞村四丁目の郵便屋さん
「うん、今のあなたの歳くらいの女の子だったって、おじいちゃんは言ってたわ」


そんな、わけがない。
みやびがその女の子のわけが……。
だって彼女は仮定法を理解する普通の女子高生だ。


「そっか、ありがと」


俺は震えそうになる声を絞り出し、自分の部屋に駆け込んだ。

もしも昔、大池なる地域があり、女の子がそこで亡くなっていたからといって、みやびとは関係ない。
今日は彼女を見失っただけ。

彼女はたしかに転校してきて、さとこじも彼女のことを紹介したし、純一だって話した。
バスの中で竹林のばあちゃんもみやびのことを俺の彼女と勘違いしていた。
俺だけに見えているわけじゃない。


「はー」


落ち着こうと大きく息を吐きだしたものの、ちっとも落ち着かない。


「妖精……」


みやびが口にした『妖精』という言葉が引っかかった。

みやびは妖精なの?

いや、だから違うだろ。
ちゃんと存在している人間だ。

自問自答して頭を抱える。


ただ、母さんも竹林のばあちゃんも、彼女がこの村にやって来たことを知らないのだけが気になった。
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