霞村四丁目の郵便屋さん
翌朝の目覚めはすこぶる悪かった。

目が覚めてもしばらくベッドから出られず、遥のことをボーッと考えていた。


『もー、いい加減ちゃんと起きなさいよね!』


ふてくされて唇をとがらせる遥は、怒りながらも、朝の弱い俺を毎朝必ず迎えに来てくれた。
でも、遥がいなくなってしまった今は、彼女のお小言をもう聞けないと目覚めるたびに落胆してしまい、朝起きるのがますます億劫になっている。

それでも、一時間に一本しかないバスに乗り遅れるわけにはいかない。


「いってきます」


バス停までは歩いて五分。
出発時刻の八分前に家を出て、バス停に向かった。


「あ……」


遥がいなくなってから、この時間はいつも俺しかいなかったバス停に人影を見つけて思わず声が出てしまう。
みやび、だ。

途端にドクドクと心臓が暴れはじめる。
昨日のことをどう聞いたらいいのか考えながら結局寝てしまったので、なにもいい案がない。
< 36 / 56 >

この作品をシェア

pagetop