君が残してくれたもの

「花火、来ますよね?」


覗き込むしぐさに、なずなを重ねてしまった。


なずなを花屋で初めて見た時から、気になる子ではあった。

派手なタイプでもないし、目立つタイプでもない。


だけど、すごく凛とした子だった。

涼しげで、透明感のある、控えめな感じが逆に人の心を掴むような、そんな子だった。


同じクラスになった時も、斜め後ろからなずなが授業を受ける姿を見ているのも好きだった。

時々、居眠りしてるのも。


自信なさげなところ、何かを諦めて生きているようなところさえも…

気になってしまって。

一番好きだったのは、笑った顔。


意外と大きな口で笑うとこ。


あの笑顔を見ていると、いつまでも側に居たいと、つい思ってしまって…
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