イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
思わず下から覗き込んだが、確かに顔色があまりよくない。青白く見える。
「ギブアップしたら?」
「いや~そうはいかないっす。約束だし」
「そうなんだ……」
罰ゲームといえどもそこは守らなければならない仁義らしい。
「おーい、タンバーッ! 女子ナンパすんなーっ!」
「うるせーーーっ! バーカバーカッ!」
タンバと呼ばれた彼は、手すりをつかんで、下に向かって叫んでいる。
男の子ってたまに不思議なメンタルをしてるなと思いつつ、遠子も彼の友人たちのほうを見下ろした。
「あの男子五人と一緒に来てるの?」
「そうなんす」
「楽しそうだね」
「女子がひとりもいないんすよ、悲惨でしょ」
「あはは! でも私も中学生くらいのときに女子だけで来てたよ」
「へーっ、あ、でも女子の集団はいいけど、男子の集団はアウトでしょ。臭いし」
「臭い……」
遠子の知っている男子は槇兄弟だけなので、臭いというのは縁遠いが、そういうものなのだろうか。
「あーでも、お姉さんのおかげで気がまぎれました」
「それはよかった」
「もしよかったら上まで話し相手になってくれませんか。たぶんあと三十分くらいはいるだろうし」
「うん、いいよ」
というわけで、遠子とタンバは階段をじわりじわりと上りながら話をすることになった。