イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「新しい世界?」
「そう。部屋の中に閉じこもって、自分を責めたり、嫌いになったりするより、信頼できる人と一緒にいて、新しい何かを見つけてほしいって思ってるだけだよ」
「そっか……」
うなずきながら、ナイフとフォークでフレンチトーストを切り分け、口に運んだ。
確かに信頼度という一点においては、直倫は適任かもしれない。
母親同士が学生時代からの親友で、家族ぐるみの付き合いがあるのだから。
まだまだ引きこもるつもりだった遠子を外に出せるなら、幼馴染との政略的結婚というのも、荒療治の一環と言えなくもない。
(実際ママは、『ダメならダメで、学ぶこともたくさんあったわねオッケーオッケー』って思う人だもんね……)
いつまでも引きこもり、うじうじと悩んでしまう自分は、甘ちゃんなのだと思い知らされるような気がして、情けなくなった。
「パパ、ごめんね……」
「遠子。違うよ、遠子はなにも悪くない。遠子は遠子なりに一生懸命だったんだって、パパもママもわかってるよ。頑張ってうまくほど人生って簡単じゃないし、逆になにが起こるかわからないから面白いんだよ」
そして和美はふふっと笑いながら、遠子の頭をポンポンと撫でた。