イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
カノーロ銀座本店は、海外から輸入した高級ブランドも取り扱うショップなので、半年引きこもりだった自分にはなかなかに勇気がいる華やかなショップだ。
だが今日は靴もバッグも母からもらったカノーロのものだ。特別入りづらいと言うことはないだろう。
腕時計に目を落とすと、約束の十分前だった。
(とりあえず入って待っていよう……)
建物は七階建てで、全面はすべてガラス張りだ。足を踏み入れると、月曜日でも若い女性やマダム、裕福そうな親子連れでにぎわっていた。
(もうすぐ夏だから、サンダルが多いなぁ……もう梅雨も明けるっぽいし)
がむしゃらに働いているときは、自分で服や靴、バッグを選ぶ余裕もなかった。
けれど目の前の色とりどりの可愛らしいサンダルやおしゃれなミュールを見ていると、少しテンションが上がる。
これを履くならどんな服やバッグを合わせようかと脳内で考えてしまう。
(今更だけど、私本当に余裕がなかったんだなぁ……)
そうやって美しくディスプレイされた靴を手に取って眺めていると、
「梅雨明け間近の爽やかな装いに、ぴったりなサンダルでございますね」
と、甘い声で背後から声を掛けられた。