イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
驚いて振り返ると、そこにストライプのスーツを身にまとった美男子が立っていた。
おそらく上の階から降りてきたのだろう。ほかにも同世代の社員が数人一緒にいて、白臣は彼らに「先に戻っててくれるか」と告げ、改めて遠子に向き直った。
「シロちゃんっ……びっくりした」
槇白臣(まきあきおみ)三十一歳。
直倫は母親寄りの美人顔なのだが、白臣は父親寄りの精悍なタイプの美形だ。身長もほぼ同じだが体が筋肉で厚い分大きく見える。
黒髪は少し短めにカットしているが、鋭い目元は直倫とそっくりで、けれど清潔感漂う、どこからどう見ても百点満点の好青年である。
彼が一階に降りてきたことで、一瞬で店内が華やいだ雰囲気になった。
「遠子は22センチだったっけ。身長の割には小さいんだよな」
「そうなの。だから靴選びもなかなか大変で……」
遠子の身長は二十代女子の平均158センチだ。
だが22センチの靴は少なく、どうしてもカラーやデザインが限定されてしまうのだ。
「上の階でフルオーダーもできるよ」
「ママが作ってもらってるのでしょ?」
「そうだよ。そして足にぴったりの靴ほど人生を楽しくしてくれるものはないよ、遠子。たくさんデートに出かけたくなる」
茶目っ気たっぷりにウインクされて、そんな相手もいないのに思わずオーダーしたくなってしまった。
(シロちゃんの接客は女子には危険だ……)