夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
あの時…。
アルバート様からの依頼を受けなかったら、こんなに幸せで満ちた日々はなかった。
そう思うと、怖くなる。
……けど。
あん時、そういやシュウは躊躇なく俺にアカリの花嫁修業の依頼を勧めてきたな。
て、事は…。あれは俺への指名依頼、だったのか?
ギルの父親からの依頼ってのに気を取られて、今まで気にしなかったけど…。
普通に考えたら、シュウが俺に勧めてくる依頼内容ではない筈だ。
…つまり。
アルバート様が俺を指名していた、って事か。
あの人が俺とアカリを最終的に結び付けてくれた……。
「ヴァロン、お料理作れないよ。」
抱き締めたまま考え込んでいた俺に、アカリがくすくす笑いながら言う。
その様子は満更でもなさそうだが、俺は彼女を解放して微笑む。
「あ、わり…。ちゃっちゃと作るか!」
「うん!」
……。
今までの自分になかった幸せに、完全に目が眩んでいた。