僕に、恋してみたら?
「先輩は、どこまで知っていたの?」
「わからない」
「わからないって……」
「別れ話を切り出される前、ほとんど、口きいてなかったから」
「…………」
先輩は、お姉ちゃんの気持ちの変化に気づいて別れを切り出したんだ。
お姉ちゃんのことが、好きなのに、身を引いたんだ。
浮気されてることに……気づいていたのだろうか。
だとしたら、ショックだったに違いない。そのときの先輩の受けた痛みを想像しただけで、泣けてくるよ……。
「あたしと桃惟が別れてから、学校で桃惟の良くない噂が流れ始めた。誰とでもキスするとか、女の子を泣かせていたとか」
「…………」
「あたし、怖くなった。桃惟が変わったのは、あたしのせいなのかなって」
「…………」
「でも、所詮は噂。あたしの知る桃惟は、平気で人を傷つけられる人じゃないって、信じてた」
嫌いになって、別れたわけじゃないんでしょ。
水上先輩より、水上先輩のお兄さんのことを好きになってしまったんだよね。
「だったら、今も信じようよ。先輩のこと」
「それは……できない」
「どうして……」
「あいつは……、桃惟は、あたしの親友を妊娠させた」