僕に、恋してみたら?
立ち上がるわたしの腕を「茉帆」と掴むお姉ちゃん。
「離して」
お姉ちゃんの手を、振りほどく。
人の気持ちがいつまでも変わらないなんて、100%言い切れない。
それでも。
「わたしだったら、お姉ちゃんみたいなことはできない。お兄さんのこと、選ばない。1人になる方がいい。好きだった人がボロボロになるところを見てまで、幸せを手に入れられない!」
先輩が、壊れた?
どうしてそんな風にいうの?
先輩の中には、今でも、優しさがある。
じゃなきゃ、わたしに、ごめんって言ったとき……
あんなに悲しげな顔をしないよ。
「茉帆は……、強いね」
――!
「あたしは、結惟が必要だった。今も、結惟が必要なの」
「…………」
「結惟を選びたかった。ごめん、茉帆」
「……っ、もっとちゃんと、先輩のこと考えて、話し合って、別れることができていたら、違ってたと思う」
「!」
「お姉ちゃんは、先輩を裏切った。先輩を、傷つけた!」