僕に、恋してみたら?


立ち上がるわたしの腕を「茉帆」と掴むお姉ちゃん。

「離して」
お姉ちゃんの手を、振りほどく。


人の気持ちがいつまでも変わらないなんて、100%言い切れない。

それでも。


「わたしだったら、お姉ちゃんみたいなことはできない。お兄さんのこと、選ばない。1人になる方がいい。好きだった人がボロボロになるところを見てまで、幸せを手に入れられない!」


先輩が、壊れた?

どうしてそんな風にいうの?

先輩の中には、今でも、優しさがある。

じゃなきゃ、わたしに、ごめんって言ったとき……


あんなに悲しげな顔をしないよ。


「茉帆は……、強いね」


――!


「あたしは、結惟が必要だった。今も、結惟が必要なの」

「…………」

「結惟を選びたかった。ごめん、茉帆」

「……っ、もっとちゃんと、先輩のこと考えて、話し合って、別れることができていたら、違ってたと思う」

「!」

「お姉ちゃんは、先輩を裏切った。先輩を、傷つけた!」




< 114 / 288 >

この作品をシェア

pagetop