僕に、恋してみたら？

「あたし、なんの事情も知らないから、いい加減なことは言えないけど」

「……？」

「先輩、本命できたんじゃないかな」


そうか。

きっとお姉ちゃんが、先輩に会いに行って。

誤解がとけて、お姉ちゃんと先輩の仲は少しずつ修復されているんだ。


だから先輩、昔みたいに戻ろうとしているのかも。

女遊びをやめたのは……お姉ちゃんのため？


先輩の傷は、いくらか癒えたのだろうか。

もしも先輩がお姉ちゃんと別れてから自暴自棄になっていたのだとしたら。

今は、そこから抜け出している最中なのかもしれない。

そうだと……いいな。


「茉帆だったして」

「え……」

「水上先輩の本命」

「それは……ないよ」

「どうして？」

「わたしは、先輩の恋愛対象には、ならないから」

「なんでそう思うの？」

「会って間もない頃にいわれたの」

「……付き合えないって、言われたの？」

「ううん。うしろから、ギュッとされたときに……ムラムラしないって言われた」

「は？」

「わたしの胸は、触れないんだって」

「……話が見えないんだけど。茉帆と先輩、どんな関係なのよ」

「わたしが1番わからない」

「ワケありみたいだね」

「ごめん……上手くいえない」


すると、ユカリがため息をついた。


「あえて聞かないでおく。でも、これだけはわかるよ」