僕に、恋してみたら?
「ここには来ないんじゃないかな。特に当日やることなんてないから、みんなお祭り気分で楽しんでまわってるよ」
「そっか」
桃惟はすっかり制服姿に戻っていた。
もっと写真撮っておけばよかった……。
「桃惟がお店に出たら、大繁盛したんじゃない?」
「もちろん。そうでなくちゃ困る」
困るの?
「桃惟以外にも、たくさん執事いた?」
「そりゃ、執事喫茶だからね」
「へぇ……女のお客さんが多そうだね」
「多かったねぇ。借りは返せたと思う」
「かり……?」
桃惟が2年に、なんの借りがあったのかな。
「実は、その衣装の生地を調達してくれたやつのいるクラスなんだ」
「え……!!」
アリスの衣装が破られて困っていたときに、調達してくれたっていう……!?
「ここだけの話、それ、なかなか質の良いものでね。アキナちゃんは、予算を上手く使っていいものを選んでたんだね」
わたしは視線をアリスの衣装に落とす。
「アキナは……その道に進みたいって言ってた。プロを目指すって」
「なるほど。それで素材からこだわっていたんだ」
「それじゃ、まさか、桃惟があの生地のお金ほとんど出してくれたの?」
あの時点で、予算はほとんど残っていなかった。
それを桃惟にあずけたわけなのだが、それでなんとかなったと言われてわたし達は安心していた。