僕に、恋してみたら?
「ねぇ、茉帆」
「は、はいっ」
「全部、僕が着替えさせてあげようか」
「む、無理」
わたしは、着替えるのを見られるのは大嫌いだ。
「わたしが着がえてるあいだは、うしろ向いててね?」
「残念」
「絶対、絶対! 振り返っちゃダメだよ?」
「それ、フリだよね? ダメっていいながらオッケーなパターンっていう」
「え? ち、違うし!」
そんなバカな。
「わかった、見ないよ」
……ほんとかな?
カーテンが閉められ、鍵もかけられた教室に、桃惟と2人きり。
桃惟と教室にいるというだけでも新鮮なのに、それがこんなシチュエーションだと更に新鮮だし、緊張する。
「もういいかい?」
「へっ……?」
衣装を半分くらい脱いだとき、突然、かくれんぼでもしているかのように、桃惟がそんなことを聞いてきた。
「振り返ってもいい?」
「ま、まだだよ!」
「それじゃあ、10秒待つね」
10秒!?
そんな短時間で着替えられるわけがない。
とりあえず、水色のドレスを脱いで制服のブラウスを羽織る。
死守せねば。
胸だけは。胸だけは……!!
「慌ててるでしょ、今」
「あ、当たり前……!」
「心配しなくても見ないのに」
「……!!」
騙したの!?
「可愛いなぁ。着替えくらいで照れなくてもいいのに」