僕に、恋してみたら?


そういえばお姉ちゃんが言っていたっけ。

桃惟は、ご両親がお仕事で留守にしがちで、お兄さんは留学中で、一人きりなんだって。

寂しくないのかな。あのマンションの部屋って凄く広いのに、そこに桃惟だけなんて。

うちはたいていお母さんかお姉ちゃんがいる。お父さんは休みの日にはゴルフとか行っちゃうけれど、毎朝一緒にご飯食べるし。


「楽しみだな、桃惟の家」


わたしがその寂しさ、少しでも埋めてあげたいな。


「僕も楽しみだよ」

「桃惟も?」

「家なら、誰の目も気にせず茉帆に触れられるし」


……へ?


「茉帆も、僕を拒絶する理由、なくなるもんね?」


なにをそんなに目を輝かせているの?


「桃惟、なに考えてるの……?」

「さぁ」
含み笑いをする桃惟。


「僕が、教えてあげる。勉強以外に、いろんなこと」

「い、いろんなこと……」


ゴクリとつばを飲み込む。

それはつまり、もしかして、恋人らしいこと……でしょうか。


「楽しみだなぁー」

「ねぇ、桃惟。そういうことは、ちょっとずつって言ったよね?」

「んー? そういうことって?」

「……っ!!」

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