僕に、恋してみたら?
「はぁ?」ギロリとこちらを睨んでくる。
な、なんでぇ……?
「もしかして、茉帆まであの人のことカッコイイとかいうわけ?」
「へっ?」
「そうなんでしょ?」
「ま、まぁ、カッコイイとは思うけど……」「どこが!」
マズい。地雷を踏んでしまったようだ。
さっきより、更にお姉ちゃんの機嫌が悪くなる。
でも……どうして?
「茉帆は、あんなのに引っかかるんじゃないよ?」
「え……」
あんなのって?
「女の敵だから」
なにも敵なんて言わなくても。
いや、待てよ。昼間屋上で再会した女の先輩は、去り際に『最低!』とか言ってたなぁ。
あのときはわたしも、先輩は女たらしだと思った。つまり、女の敵といわれても致し方ない。
でも、今思い返せばあの女の人はちょっとしつこそうだったし、あの状況だけで先輩が悪者なのかを判断するには、あまりにも情報量が少なすぎる。
限りなく黒に近いグレーだったとしても、現時点では黒でない。
「お姉ちゃん、水上先輩はお姉ちゃんが思ってるほど、悪い人じゃないかもよ」
「……あんた、あの男の肩を持つんだ」
「え、そんなことはないけど」
「好きなの?」