ガード
ここまで人一人の事を考えるというのは、やはりそれなのだろうか。

ワイワイと騒がしいアローグループ社員食堂の中。

その中であずさはぽつりとつぶやいた。

「なんだそれ。・・・あるよ。」

「あるの?!」

「俺だって人間だし。」

「今?過去?誰?誰々?女性よね?・・・まさか、男性?」

パシンとあずさに頭をしばかれる。

「馬鹿。」

「ごめん。で?」

「ちゃんと女の子に恋してるよ、今。」

「どんな子?」

「男勝りで、楽観的で、ちゃっかりした子。」

「それいい人なの?」

「・・・俺は好きだけど。」

「ふーん。まあいいや。行こ。そろそろほかのボディーガード達と交代の時間。」

そう言って、私たちは席を立った。

だが私は知らなかった。

私たちと入れ替わりに社員食堂に翔が入ってきたということを。

< 25 / 77 >

この作品をシェア

pagetop