お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


「ひまり、行かないの?」



夏奈ちゃんに呼びかけられて、慌てて意識を引き戻した。



「ううん、行くっ!!」


「ふは、今日も元気だね」



勢いよく返事した私に、夏奈ちゃんが声に出して笑って。




「だって、食べたいものいっぱいあるんだもんっ!」


「例えば……?」


「わたあめは絶対外せない!!去年はりんご飴食べたから………今年はベビーカステラは確定事項だし、かき氷も!そうそう、チョコバナナもあるし!」




目を輝かせながら、夏奈ちゃんの質問に答えた。




「……うわあ、甘いもののオンパレード…」



胸焼けしそう、なんて呟いた夏奈ちゃんに私も聞いてみる。




「夏奈ちゃんは何食べるの?」


「うーん、焼きそばとか?……ひまりが甘いものばっか食べるんなら、塩っ気のあるのがいい」



えええ、もったいない。

わたあめは食べなきゃソンだよ!!、と心の中で叫ぶ。







「花火って何時からなの?」



この夏祭りに来るのは初めてだという夏奈ちゃんが首をかしげた。


同じ高校に通っているとはいえ、私と夏奈ちゃんでは住んでいる地域が少し違うからね。




「20時(ハチジ)からだよ〜っ」



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