お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

何のしかけもない短距離走は、足の速い子に出てもらうべきだし、妥当かなって。



「え、そうなんだ?ひまりはてっきり、パン食い競走だとばかり……パン好きでしょ?」



「好きだけどっ!」



しかもパン食い競争に使われるパンって8割ぐらい、甘い菓子パンだし。


もちろんのこと、大好物。



「じゃあ、なんで?」



痛いところを突かれて、口ごもりながら説明する。



「なんでって………身長が足りないからに決まってるよ……」


「………ぷはっ」




吹き出した夏奈ちゃんに、私はむっと唇を尖らせた。


これは切実な問題なんだからね!?

夏奈ちゃんには到底無縁だと思うけど!




「そういう夏奈ちゃんは何に出るの?」



「えっとね、短距離走一種目と、リレー系どれかに出れたらなーって考えてる」



「さっすが…」




格が違いすぎて感嘆のため息しか出ない。




「まぁ、お互いやりたい種目に出れたらいいね!」


夏奈ちゃんがそう言って、


「うん!」


私は大きく頷いた。





< 145 / 387 >

この作品をシェア

pagetop