お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

優しい口調に、単純な私は簡単に騙されて素直に口を開いてしまう。



「男の子、だよ」




男の子、と口にした瞬間にピキリ、と浅野くんを纏う空気が凍ったような気がした。


そして、私も我に返る。



………待って!

男の子って言っちゃった……。
うわああ、私のバカ……。



「男?」



どうやら、空気が凍ったと感じたのは気のせいではなかったらしい。


浅野くんの声が、急激に冷たくなった。


私の背筋も、凍る。



………え、私、もしかして何か気に触ることを言ってしまったの?




「誰」


「へ……?」




上手く飲み込めない私に、浅野くんがもう一度訊く。




「誰のこと、見てたの?」



< 156 / 387 >

この作品をシェア

pagetop