あまりさんののっぴきならない事情
 
 



「あまりさん、あまりさん、あまりさん。
 めっちゃイケメンが居ますっ」
といきなり、沙耶が肩を叩いてきた。

 今日は沙耶が午前中から来ている日だった。

 は? と振り向くと、やはりと言うか、海里が居た。

 今日はテラス席ではなく、窓際の席に居る。

 うわー。
 何故、来ましたかーと思っていると、たまたま近くに居た成田が海里となにか話していた。

 ……つ、積もる話もあるでしょう、久しぶりの再会。

 そのまま語り合っててください、と違うテーブルに行こうとしたら、成田が、
「あまり」
と呼んできた。

 仕方なく行くと、
「この店に指名制度はないと言ったんだが、犬塚がどうしてもお前を呼べと言うから」
と渋い顔で言ってくる。

「い、いらっしゃいませ」
と海里に向かい、引きつった笑いを見せると、海里は、

「成田、行っていいぞ」
と成田を追い払おうとする。
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