あまりさんののっぴきならない事情
 実際、そうなっていたし、さっきまで。

 こちらを窺うように見ている成田を見ながら言う。

「成田に結んでもらうよりマシだろ。
 店員同士でいちゃついてるように見えるから」

 結んでやりながら、
「なんでわざわざ戻ってきた?」
と問うと、

「いえ、海里さん、珈琲だけ頼まれたから。
 この時間は、モーニングの方が多いので、ちゃんと朝食食べられたのかな、と思って、気になって。

 最近、朝食食べないって人、多いですもんね」
と言ったあとで、顔を上げたあまりは、おや? という顔をする。

「どうした?」
と訊くと、

「いえ。
 あのお客様、何処かで見たような……」
とさっき、あまりにモーニングを頼んだ男を見て呟く。

「大丈夫か?
 付け回されてるとか?」

 ストーカーか? と言うと、
「ストーカーはお前だろ」
といきなりトレーで後ろからはたかれた。

 頭を押さえ、
「店員っ」
と成田を睨むと、成田は冷ややかに見下ろし、

「踊り子さんには手を触れないでください」
と言ってくる。

 誰が踊り子だ……。

 こんなサービス精神のない踊り子が居るか。
< 228 / 399 >

この作品をシェア

pagetop