あまりさんののっぴきならない事情
「え、ありがとうございます。
 でも、成田さんにそんなことしていただくなんて」

「別にいいよ。
 今、休憩中だしね」
と言って、窓際のローボードのーの上にある卓上IHのスイッチを入れていた。

 すぐにいい匂いがし始める。

 鶏と季節の野菜の豆乳スープのようだった。

 目を閉じ、あまりはその匂いを嗅いだ。

「あー、幸せです。
 こんなとき、本当に此処に勤めさせてもらってよかったなって思います」
と言うと、成田は笑い、

「客で来た方が、もっといろいろ食べられると思うけど」
と言ってきた。

「うーん。
 でも、なんていうか。

 この店の一員になってみたかったんです。
 皆様に、幸せな時間を提供する素敵な仕事だなと思って」
と目を閉じたまま、あまりは笑う。





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