あまりさんののっぴきならない事情
 あまりは、そこで俯き、なにごとかを考えていた。

「ほんと……あいつ、迷いがないよね」

 そう言うと、あまりは不思議そうに顔を上げる。

「でも、私には、成田さんもそのように見えてましたけど」

 そう言ってきた。

「成田さんは、バリバリのカフェの店員さんです。

 成田さんが居るから、このお店に来るって方、たくさんいらっしゃると思いますよ。

 私も、このカフェ、最初に見たとき、ちょうど夕暮れどきで、ランプの明かりを幾つも灯したテラス席で、成田さんが接客してらして。

 ほんとに素敵な笑顔をお客さんに向けられてました。

 わあ、背の高い、格好いい店員さんが居るなあって思って。

 仕事帰りにこんなカフェに寄ったら癒されそうだなって思ったんです」

 その頃はまだ働いてなかったですけどね、とあまりは笑う。

「成田さん込みで、このカフェを見て、素敵だな、と思ったんです」

 そう言われ、目を伏せる。

「……ありがとう」
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