あまりさんののっぴきならない事情
 



 いよいよ、金曜日だ。

 あまりはもう出発するときの格好で、お昼に海里にパンを配達していた。

 今日は、噛むとすごく味わいのあるプレーンなパンと、チェダーチーズと紫キャベツとビーフのサンド。

 それに、トマトたっぷりのミネストローネだ。

 ……もちろん、自分で作ったのではない。

 持っていく途中で、秋月と出くわした。

 見せて見せてと言われ、配達用のピクニック風バスケットの中を見せると、秋月が覗き込む。

「今日も美味しそうね」
と言う秋月に、

「トマトたっぷりのミネストローネは血糖値も血圧も下げてくれるんですよ」
と笑って言って、

「支社長、糖尿病で高血圧だっけ?」
と訊かれてしまった。

「いえ、違いますけど」
と苦笑いして言うと、

「そうか。
 愛よね、愛。

 いつまでも長生きしてねってことね。

 ねえ、なんで結婚しないの?」
と秋月が訊いてくる。
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