あまりさんののっぴきならない事情
 


 やはり、想像通りのご主人です、と思いながら、あまりは夕食の席で初対面となった秋月の夫を見て思う。

 見るからに感じのいい、やさしそうなご主人だ。

 呑んだくれた秋月がなにを言っても、はいはい、と聞いている。

 そして、ご主人は途中で席を立ち、実家に電話をして、子どもたちの様子を訊いていた。

 それに気づいた秋月が、
「代われ」
と言い、

「もしもし。
 お母様だ。

 元気にしているか」
と子どもたちに話しかけていた。

 あまりの右隣の室長はそれを見て、ニコニコしている。

 こういう昔の方は、男の人が奥さんの尻に敷かれているのとか見て、大丈夫なのかな、とちょっとハラハラしてしまったのですが、大丈夫なようですね、と思っていると、室長は、秋月夫婦を見ながら、ぼそりぼそりと語り出す。

「秋月さんはねえ。
 ご主人のことが大好きでねえ。

 初めてご主人と出会って付き合い始めた頃は、それはもう浮かれていて、とても可愛かったですよ」
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