あまりさんののっぴきならない事情
「今日はどうもありがとうございました」
鍵を開け、幾つか荷物を中に入れたあまりは海里に頭を下げた。
いいのだろうかな、こんなに買ってもらって、と思いながら、戸惑いがちに、
「あの、どうしてこんなによくしてくださるんですか?」
と訊くと、海里は、
「別によくしているつもりはない」
と言う。
「うちの会社に似合わない、チャラチャラした服を着てこられたら、風紀が乱れると思ったから、買い与えただけだ。
明日からちゃんと来いよ。
……この俺を振った報復、たっぷりとしてやるからな」
ひい……。
どさりと手にしていた紙袋が落ちる。
じゃあ、と言って海里は去っていってしまった。
今夜は悪い夢を見そうな気がする……。