午前0時、魔法が解けるまで。
目の前の光景を振り払うように私は急いで図書館から出た。
引き戸を引いて扉が開いて学生がまばらに通る廊下の、いつも通りの風景が目前に広がりなぜだか妙に安心して視界が滲んできた。
「うううう……!」
うめき声にも似た泣き声を上げながら廊下を駆けていくとすれ違う学生がぎょっと目を見開いて私を振り返っているようだった。
ボタボタ床に撒き散らされる涙とすすってもすすっても垂れてくる鼻水とで私の顔はそれはもう酷いものだったのだろう。