午前0時、魔法が解けるまで。
「ん、美味しい」
口の中に食べ物を入れたまま喋るのは品がないと思ったけれど、ほのかに香るバターの香りや舌触りの良い甘さに思わず口から感動がこぼれ落ちた。
「良かった」
もさもさとクッキーを貪る私を見て砂川さんは安心したように表情を崩した。
ふんわりと、可憐な花が咲く瞬間を見てしまったような気持ちを振り払うため、そっと視線をティーカップに落とす。
そろそろ飲めるだろうか。