午前0時、魔法が解けるまで。
「美香……」
私が動揺した一瞬の隙をついて、それまで黙って見ていた男が私の髪の毛を掴んで起き上がらせた。
「痛い!離してってば!」
「はいはい暴れなーい。言うこと聞いてくれたら悪いようにはしないからさぁ」
何が悪いようにしないだ。それならば今すぐ離して欲しい。
「終わったら教えてね」
美香が背中を向けて資料室の扉から廊下へ出ていく。
まずい、扉を閉められてしまったら逃げることが難しくなってしまう。
「誰かっ……!」
助けを呼ぼうと大きく息を吸って口を開けると、掴まれた髪の毛ごと頭を床に叩きつけられた。
「キミはこっちに集中してね?」
3人のうちの1人に横腹を蹴られて乱雑に天井を向かされて、悪意に満ちた笑顔に視界が支配された。