午前0時、魔法が解けるまで。
ひとしきり泣いたあとに、怪我を手当てするために医務室に向かうことになった。
さすがにおでこから血を流して廊下を歩いていたら誰かとすれ違った時に非常にまずいということで、逢坂くんが貸してくれたパーカーを頭から被ったまま、一部開けた視界から見える逢坂くんの足元だけを頼りに歩いた。
「何でこんな犯罪犯したみたいな移動の仕方なんですかね……」
「血みどろのまま歩くか?」
「いえ」
逢坂くんがパーカーを剥ぎ取ろうとするのを慌てて首を横に振って制止する。