午前0時、魔法が解けるまで。
「こんなとこでイチャついてんじゃねえよバカップル!!」
後ろから頭を叩かれて、私は一瞬目を回した。
振り向くと真っ赤な顔で怒っている逢坂くんが立っていて、私達を部屋の中に押しやって玄関に入ってくる。
扉の開く音に全く気が付かなかった。
「やあ冬馬。久しぶりだね」
「何呑気なこと言ってんだ天然ボケ」
薫くんはすっかりいつもの王子様モードに切り替わっていて、先ほどまで泣いていたのが嘘のようだった。