午前0時、魔法が解けるまで。
「恋人って感じがしていいね、こういうの」
「……そっ、そうですね……」
少女漫画に出てくる登場人物のようにカッコいい薫くんだから様になっているんだろう。
その人の隣に立つ私は彼のそばにいるのにふさわしく見えるのだろうか。
「また難しいこと考えてる?」
「え?」
「ここ、ぎゅってしてるよ」
眉と眉の間をちょこん、と指先でつつかれて私は慌てて表情筋の緊張を解いた。
緩やかな手を引かれて、促されるままに私は歩みを進めた。