二頭(二人の男)追うもの…バチが当たる

いつの間にか集まっていた野次馬達もいなくなり、わずかな消防隊員とお巡りさんだけが残っていた。

落ち込んでいても仕方ない。取り敢えず今夜はビジネスホテルにでも泊まって後の事考えよう。そう気持を落ちつけた時鞄の中でスマホが鳴っているのに気が付き、取り出すと切れてしまった。

何十件もの着信数で、着信履歴を確認すれば、輝一君と槇さんの名前がズラリと並んでいる。

えっ!?
なにこれ…?

胸騒ぎがする。
背筋に冷たいものを感じた…のは気のせいだろうか

そして再び鳴った着信音に驚き、スマホを落としそうになる。

『もしもし!?こまめちゃん?こまめちゃん無事なんですね!?』

「輝一君…」

さっき輝一君を怒らせてしまって、もう声も聞けないかと思ったのに、こうしてまた声が聞けるのは凄く嬉しい。こんな時だからなのか、輝一君の声にほっとして、止めたはずの涙が再び溢れてくる。

『こまめちゃん今どこ?…あっ居た』

え?

電話の中と後方からと、輝一君の「『あっ居た』」という声が聞こえてきた。そして輝一君は駆け寄ると抱きしめてくれた。

どうして?

「無事で良かった…本当に無事で良かった」

「輝一君?どうして…」

輝一君はテレビのニュースで火事の事を知り、何度も電話を掛けていたが、繋がらなくて心配していたと言う。

サイレンや消火活動の騒音で、着信音が聞こえなかった。と言うより、私自身がパニックになっていて聞こえなかったのだ。

「有り難う…心配してくれたんだ?」

「当たり前じゃないですか!?どんなに心配したか…」

「ごめん…あたし、輝一君を傷つけたのに…まだ、あたしの事心配してくれるんだね…」

「当たり前じゃないですか?誰がなんと言っても、僕はこまめちゃんを愛してるんですから」





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