楕円の恋。
ジリリリリ!

私は枕に顔を埋めたまま手探りで目覚まし時計を止めた。

もう、朝?早いよ〜

昨晩はベッドで泣き疲れていつの間にか寝てしまっていた。

あちゃー。

鏡を見ると少し目が腫れていた。

応急処置、応急処置、

私は洗面所でコットンを水で濡らし目に当てた。

治れ〜治れ〜

私はおまじないをかけた。

ほんのちょっぴり腫れがひいたような気がした。

『涼奈〜早くしないと遅刻するわよ〜』

リビングからお母さんの呼ぶ声が聞こえた。

『うん!すぐに行く!』

私はパパッとメイクをすませリビングへ行った。

『おはよ〜。』

『おはよう。涼奈さっさと朝ごはん食べちゃいなさい。洗い物ができないでしょ?』

お母さんが私をせかした。

私以外の家族はもう朝食を食べ終わるところだった。

『あれ?健ちゃん今日は早いね。いつも私と同じぐらいなのに。』

この子は健ちゃん、健斗。私の1つ下の自慢の弟だ。姉バカかもしれないが、なかなかのイケメンである。サッカーの強豪校に特待で決まっている。

『高校の監督から連絡あって、このメニューを毎日こなしときなさいって。』

健ちゃんは肩を落としながら、紙を見せてきた。

そこには朝と夕にびっしりメニューが書いてある。

私はぞっとした。

『こんなに!?強豪校は違うね〜。頑張ってね』

『おぅ!姉ちゃんも頑張って早くイケメン彼氏作って俺に紹介してね。行ってきまーす』

健ちゃんはバタバタとエナメルバックを肩にかけて、家を出て行った。

私はドキッとした。

母はニコニコしているが、父は少し微妙な表情だった。

『私も早くイケメン彼氏を紹介して欲しいわ。ねっお父さん』

『まぁ、交際するなとは言わないが、高校生という身分をだなぁ』

父の声がどんどん小さくなっていった。

『ごちそうさま〜行ってきまーす!』

私は恥ずかしさのあまり急いで朝食を食べ家を出た。
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